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美しい伝統の藍染めを現代に!「蛙印染色工芸(株)」-1

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あっという間に今年も半年過ぎたなーと思っていたら、すでに7月も中盤。早いものです。

河川に囲まれた八潮では、昔は染色業がさかんだったそう。その後どんどん減ってしまったようですが、今でも綺麗な藍染めをされている工房があるとか。しかも見学も受け付けている(1日1組限定)とのこと、さっそく伺ってきました!!!

八潮市柳之宮、綾瀬川沿いにある「蛙印染色工芸」さん。今回お話しを伺ったのは、専務の大澤さんです。

無知な私に、とても熱心にいろいろと教えてくださいました!!

昭和37年にお祖父さまがはじめられたこちらの工房。しばらくして、現社長であるお父さまが徳島の知り合いの方からもちかけられたことをきっかけに「天然灰汁発酵建て」という江戸時代から伝わる手法で藍染めをはじめられたそうです。

お話しをお伺いした事務所には、こんな素敵な手ぬぐいが↓

絶妙な表情のうさぎちゃん。こんな顔をされたらついて行っちゃいそう。藍と白のコントラストが綺麗で、大胆な構図も素敵。これが藍染めなんですね!


藍染めの染料として使われているのは天然の植物“藍”。

染料になるのは葉っぱです。藍の葉を傷つけると傷口が青くなるそう。大昔から世界各地で染料として使用されていたそうですよ。

藍染めにはいくつか方法があるそうですが、蛙印工芸さんが行っているのは伝統的な「すくも染め」。藍の葉を乾燥させ、発酵させてつくる「すくも」を使って染める方法です。


こちらが乾燥した藍の葉↓

それを100日くらい手間ひまかけて発酵分解させ、藍の成分を凝縮したのが「すくも」↓

すくもを使うことで、布を濃く鮮やかに染めることができるそうです。

このあと、すくもを使って染めるまでとても時間と手間がかかるそうです。その工程はのちほどご紹介!


今回、「藍」という植物についてもくわしく教えていただきました。藍にはいろいろな効能があるそうです。

蓼(タデ)科の植物である藍は、虫が嫌う匂いをもっているのだそう。しまっていた服に穴をあけちゃう、あの虫(虫喰い)です。防虫剤を入れなくても防虫効果があるんですね。

また、ヘビも藍のにおいを嫌がるそうで、西部開拓時代アメリカでは『毒グモ・毒ヘビから守るために馬車の幌を藍で染めてそれを巻いて野宿した、それがジーパンの起源である』という説もあるそうです。今でこそジーンズはほとんど化学染料(インジコピュアというそう)で染められていますが、もともとは天然の藍染めだったんですね。

ただ、虫が嫌うといってもすべての虫が嫌うわけではなくて、なかには藍の葉っぱを食べる虫もいるのだとか。そこから生まれた言葉がこちら↓

「蓼食う虫も好き好き」

…おおっ、知識が増えましたよ♪


ところで、こちらの工房のお名前は「蛙印」さん。はじめてみたときから素敵だなと思っていましたが、でもナゼ蛙? 見学に来られた方からもっとも多いのはこの質問だそう。やっぱりみなさん気になりますよね?

こちらの地名は「柳之宮」。創業者であるお祖父さまが「柳といえば蛙だろう」ということで決めたのだとか。そう!“柳に蛙”といえば、花札のなかで唯一人物が描かれている、有名なあの札です!

その“蛙”に当時はいろんな名前に付いていたという“印”(今でも象印とか雪印とかありますね)をプラスして誕生したのが「蛙印」の由来なのだそう。

ただ、あまりにも多くの人から「なんでですか?」と聞かれるので、社名を変えようかと考えた時期もあるのだとか。でも、ある占い師さんから「この地に根付いたとてもいい名前だから変えることはない。それにこの花札には意味がある」と聞かされたそう。


では花札に描かれた逸話をご紹介。

「柳に蛙」の札に登場する人物は「小野道風(おののとうふう)」という平安時代の書家です。自分の才能に自信が持てず悩んでいる道風が、あるとき雨のなか何度も柳に飛びつこうとしている蛙に遭遇。「蛙は馬鹿だな。いくら飛んでも飛びつけるわけないのに」と眺めていたとき、偶然強い風が吹いて柳がしなり、蛙は見事に飛び移る。道風は「馬鹿は自分だ。蛙は一生懸命努力をして偶然を自分のものとしたのに、自分はそれほどの努力をしていない」と目が覚め、その後大変努力をした…といわれているのだそう(真偽不明)。

なるほど。あの札にはそういう意味があったんですね! (点数が高いだけではなく)

さらに「かえる」といえば「染めかえる」とか「生きかえる」とか縁起のいい言葉でもあるため、「蛙印」さんの名前は不変のものとなったそう。今では、藍染めの手ぬぐいもつくられているそうですよ。


その版がこちら↓

素敵な絵柄ですね♡ とっても人気があるそう。人気がありすぎて、残念ながら手ぬぐいの実物は見られませんでした(売り切れ)。見てみたかったなぁ♪


蛙印染色工芸さんでは、1日藍染体験(年2回)や見学(1日1組限定)もできるそうです。「ぜひやってみたい」「藍染めの話しを聞いてみたい」という意欲のある方は問い合わせてみてはいかがでしょう。くわしくはコチラから↓
蛙印染色工芸さんHP

藍染めのことがとってもよくわかるHPです。 藍染め展など最新の情報もHPにアップされるそうですよ!

さて次回は、いよいよ藍染め工房をご紹介します~♪

蛙印染色工芸株式会社

住 所
埼玉県 八潮市柳之宮84[MAP]

電 話
048-996-4075

URL
http://tennen-aizome.com/

*内容はすべて取材時のものです。